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気味悪い老婆にひかれていく、父のすがたを見た香代子は、狂気のように階段をおり、正面玄関からとびだしたが、そのときには、老人のすがたも老婆の影も、すでにひとごみのなかにまぎれてしまっていた……。

「おとうさま……おとうさまぁ……」

香代子はまるで血を吐くように、泣きつ、叫びつ、きちがいのようにひとごみをかきわけていった。あとからかけてきた文彥が、しっかりとその肩を抱きしめて、

「だめだ、だめだ、香代子さん、おちつかなきゃあだめじゃないか」

「だって、だって、文彥さん、おとうさんが悪者のためにさらわれてしまって……」

「だから、いっそうおちつかなきゃあいけないんだ。なおこのうえに、きみの身にまちがいがあったらどうするの。さあ、ひきかえして、金田一先生や等々力警部をさがそう」

「だって、だって……ああ、おとうさま……おとうさまぁ……」

むせび泣く香代子の手をひいて、枺�紕�訾偽恧丐窯��à筏皮�毪取ⅳ丹銫�玀ⅳ槨�郡�丹蓼盲啤ⅳ�堡膜堡皮�烤�伽�⑹殖證瀝證丹郡槨筏�ⅳ盲皮い俊�

香代子は警部と耕助をさがしたが、すぐにふたりは見つかった。

「アッ、文彥くん、ぶじでいたか。きみのすがたが見えないので、けがでもしたんじゃないかと、どんなに心配したか知れないぜ」

金田一耕助のことばも聞かず、

「先生、たいへんです。このひとのおとうさんが悪者にさらわれたんです」

「このひとのおとうさん……?」

「そうです、そうです。このひとは大野のおじさんのお嬢さんで、香代子さんというのです。ほらきのうもお話ししたでしょう」

「おお、そ、それじゃ、大野老人が……」、

金田一耕助は、ハッと警部と顔を見合わせた。

「そうです。そうです。おじさんを連れていったのは、魔法使いのようなおばあさんです。先生、おじさんを助けてあげてください」

「おじさま、おとうさまを助けて……」

香代子も涙をいっぱいうかべてたのみこんだ。

そこで警部はもう一度、ふたりに話をくりかえさせると、すぐに警官たちを呼びあつめて、付近を眨�伽丹護毪長趣摔勝盲俊¥筏�貳ⅳい蓼趣勝盲皮嗓螭勝摔餞謂��蛘{べたところでなんの役にも立ちそうもない。大野老人はそのころすでに自動車にのせられて、遠くへ連れ去られていたのだから。

それはさておき、等々力警部と金田一耕助、それから文彥と香代子の四人がひたいをあつめて相談しているところへ、

「おやおや、警部さん、なにがあったのですか」

と、聲をかけた者があった。一同がびっくりしてふりかえると、そこに立っているのは、五十歳くらいの、白髪の、美しい、上品な老紳士だった。警部は目を丸くして、

「あ、あなたは加藤寶作老人……」

加藤寶作……と、名まえを聞いて金田一耕助は、思わず相手の顔を見なおした。

ああ、それではこのひとこそ、世界的な寶石王とうたわれた寶作老人なのか。そして、きのう新宿のホテルで、銀仮面のためにまんまと六個のダイヤをぬすまれたのは、この老紳士だったのか。なるほど、そういえば、寶石王の名にふさわしい、ふくぶくしい顔をしている。

「加藤さん、あなたはどうしてこの劇場へ……」

警部があやしむようにたずねると、寶作老人は顔をしかめて、

「それについては警部さん、ちょっとみょうなことがあるんですよ。見てください。この手紙……」

寶作老人はポケットから、しわくちゃになった一通の手紙をとりだしたが、ちょうどそのころ、吉本青年の自動車は、枺�紕�訾頦幛釘筏啤ⅳ蓼盲筏挨槨俗撙盲皮い郡韋坤盲俊�

それにしても、寶作老人のとり出した手紙には、どんなことが書いてあったのだろうか。

ダイヤの少女王

等々力警部は寶作老人のさしだした、手紙をうけとると、一同に読んで聞かせた。

「新聞で拝見しますと

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